これまでのあらすじ
あたしnomadは陵桜学園高等部に通う17才の女子高生。
ちょっぴり退屈な日常から飛び出して、あたしは冒険の旅に出ることに決めた!
宇宙人、未来人、超能力者と役立たずのでくのぼうの4人のお供を引き連れて、いざ出陣!
とはいえ前途多難なの。あーあ。
いやもう一切合財が前途多難でしてな。
そもそもが17歳でもなければ女子高生でもなく46歳のオッサンだってえところが初手からハンデなわけですわ。
しかし実はね、正直、楽勝だと思ってた。自信あった。
俺はまだまだイケると。モテモテだと。世界中能無しのバカばっかりなんだから俺様くらいになるとそりゃもう引く手あまただと。
これからはさ、NGNの時代になるわけよ。つまりな、NW技術者なんつうのは、まあ価値がなくなるの。
NGNには電話もデータも携帯電話もテレビもインターネットも乗る。
ネットワークの技術なんてものには利用者側は意識する必要がなくなるのよ。
使う側はアレコレ考える必要なんか無くって、NTTに電話一本かければセキュリティやら接続性やら宛先やら流量やらはNTTの回線の中でやってくれるようになる。
ホイ、これ、誰が専門の技術者が必要になるの? NW技術者がほしいのはインフラの中だけなんだよね。
以前から言ってた様に、これからはNW技術の時代じゃなくて、もっと上位レイヤの仕事じゃないとやってけなくなるんだよ。
そうなりゃこれからはコンテンツだわな。
今、テレビもラジオも新聞も雑誌もあらゆるメディアが大挙してネットに乗っかってきて、百鬼夜行と過渡期のドロドロの闇市のこの世界が一番荒っぽくておもしろそうなんじゃないの。
で、今勤めてるトコのグループ会社に面接に行ったワケよ。
……
したらさ、面接官が「nomadさんはなかなか良くモノゴトをご存知で」っつーワケ。
そりゃまあ俺様くらいモノゴトを良く知ってるのあそうはいない。ったりまえじゃねーか。
俺の方も「そういうお前もなかなか話がわかんじゃねえの」って褒めてやったけどな。
でね、面接官が聞くわけ。「今までとずいぶん違う分野の仕事ですが思い切った選択とは思いませんか?」って。
いや、俺、キョトンとしちゃってさ。「今までいろんな仕事をやりましたけど、その都度、どの仕事も皆面白かったし、意義のある仕事でしたから、特別スゴイ決断とは思っていません」って答えたんだけども。
てか、俺は今まで会社の中じゃ「一番最初に仕事を開拓する係」だったのな。
初めてプロジェクトが起きると、最初に俺が受け持つの。
いろいろ工夫してあっちこっちに交渉して、形になってルーチン化できたら他の人に引き継ぐ係ね。
別の仕事も何も、オラァ、こう見えても初めての仕事ってなあ慣れっこのお茶の子さいさいだっつーの。
あ、コレ、その時言えば良かった。まあ言っても意味無いんだけど。
最後にさ、その面接官、「東海の会社の方ですが、東京での勤務は大丈夫ですか?」なんて聞くわけよ。
いや、そりゃ、そんなこと誰にでも聞いてるとは思うよ、俺だって子供じゃないんだから浮かれたりはしないよ、でもさ、ちょびっとはフラグが立つわけじゃん。
で、まあ、落ちたワケですが。
なんだかんだあった後で、別の会社に拾われて今があるんですけどもね。
この1年間、あっちこっちの人に声かけて、伝を頼って、働き口を探したわけですけども、最後の最後の最後の砦にひっかかって、やっとわかりました。
俺、甘かった。
自分はこれだけの経験があってこれだけの能力がある。まだまだイケるしバリバリだぁ!アブラだって乗り切ってまっせお客さん!ウレウレのピチピチでムンムンですってば!
…と思ってたのは俺だけだった
結局、人材っていうのは「現在価値」じゃなくて「残存価値」で計算されるんですよ。
有体に言えば、僕はもう46歳だ。東京では後10年は働けない。せいぜい5年だ。
僕が5年間に会社にもたらすお金と、36歳の人が15年働いてもたらすお金と、どっちが会社が得か、考えて見りゃわかること。
いやあ、会社じゃ若い方だってことに自分が騙されてた。
世間じゃ若くはないんだよね。定年までの数を数えた方が早いのよ。
それに気づかなかった俺はマヌケでした。
それでもなんとか職を失うことなく、東京にも残れ、今は忙しく働いているんですから、僕は幸運なんでしょう。
俺さ、「人生設計」なんて大嫌いなんだけどもね。いじましいし、そんなもん設計してたってデカい波が来たらおしまいなんだからさ。何が来ようが生き残って一山当ててやるぜ!ってのが信条なんだけどね。
でもさ、こんなことがあると、やっぱ考えちゃうね。
俺は幸運だったけど、そうでもない人たちって、周りを見回せば一杯いるわけでさ。
自分の今の環境を変えようと思ったら、三十代までに変えておいたほうがいいよ。
自分がどれだけ能力があると思っていても、世間の方は別のことを考えてるんだからさ。
「もう少し実力が付いてから」とか思ってたら出遅れるよ。
実力なんてものは新しい環境に行ってから身につければいいんだよ。
タイムリミットが来たら、世間の側で受け入れてもらえなくなるからね。
あー。
しかしなあ。
あと数年で定年なんだ、ってことが、スゲー実感としてわいてきた。
定年後の人生って言うのも考えておかなくちゃいけないんだよねえ。
人生設計、苦手だなあ。
>結局、人材っていうのは「現在価値」じゃなくて「残存価値」で計算されるんですよ。
そうなんだろうけど、それじゃあ日本の労働力確保できなくなるんだよね、たぶん。中年か年寄りばかりの社会なんだからさ。良くも悪くも企業がそういう場を提供できなければ、果ては経済も維持できなくなっちゃうんじゃないのかな?
むーん。
すでに労働力の確保は難しくなっていて、だから外国人労働者に頼ったり「大規模移民を奨励しよう」なんて話が出て来てるわけよー
確かにツライ現実なんだけどさー
多分、企業は「日本の将来」なんて考えてる余裕はないと思うよ。
今日のオマンマをどうやって食べるかって事に精一杯なんじゃね?
タコが自分の足食ってるようなもんかなあ。それとも種籾まで食い始めた飢饉の村ってところかなあ。
まぁとりあえず転職おめでたう。
> pipi
今は怒涛の中で息もできずにぐるぐるしちょりまする。
ほんで、思ったんですがな。
もしかすっと「残存価値」って概念は日本的なものかもよ。
つまり永年雇用ってえ概念がまだ生きてるから残存価値で判断されるわけ。
案件ごとの雇用だったら、まさしく現在価値しか認められない。
どっちが「社会の安定」に寄与するかっていうと、どっちかと言えば永年雇用の方かもね。
もっとも、労働力の流動性が、十分にある社会だったら、そうとも言えない。
「責任ある仕事をプロジェクトごとに頼めるから労働の付加価値が高くて高い賃金で雇用する」
「低スキルでもできる仕事は社会基盤として用意されている」
っていう条件があって、いろんな条件の仕事が選べて、低レベルの仕事でも最低の社会活動は出来る程度のお金をもらえて、っていう社会だったら、会社組織がスキルを担保しなくても個人がスキルを担保できるだけの冗長性を持つことが出来る。
スーパー派遣にでもなりますか?(大前春子バリな)
ちなみに、案件毎のとかいうと、結局、独立して個人
事業主になるしかないんじゃないの?
その道で名が通ればそれも可能かも。
まぁ、グルグルが終わったらメシ喰いませう。
そりゃもう社長ちんになるのが一番!
・・・オイラもどっかやとってくれないかなー。
リストラされた時の元部下たちがやっと全部定職についた俺が来ましたよ。
残存価値/費用で考えてれば利用価値はあるんだろうけどさ、元部下より若い連中はみんな定職じゃないわけさ、同じ仕事してても。
で、正社員だった人たちが契約社員に置き換わっていくこの世の中では、使えるか使えないかなんて問題じゃないわけ。
40台子持ちの人は月給30万じゃ満足してくれないだろうけど、30台なら結婚も子育てもあきらめて自分一人の生活のために手取り20万未満でやってくれる奴がいるかもしれない、みたいな意地汚い世の中なんだよ。
しばらくぶりにお伺いしたら
転職されたとのこと。おめでとうございます。
>残存価値
・・・ううーん・・・
その残存価値はコストだの利益の面から会社が判断したものってわけなんでしょうけど
でもね、「そういう面の計算だけ」って正直嫌ですね。
いい形で、新しい分野を開拓するチームを動かせるとか
続く若い人材を育てられるとか
nomadさんはいろいろできちゃいそうでしょ。
だけどそういうところは面接官も見てない・判断材料じゃないってこと・・・。
すぐ目の前の利益しか見てないってことだよね。
引き継げるものって実際いろいろあると思うんだなぁ。数字に即、直結しない利益ってモノが。
そういう私は一応細々フリーランスの「個人事業主」?
確かに定年はないが、現在価値での契約っていうのも毎度結構シビアだな、と感じています。
転職されたとの事で、まずはおめでとうございます。
定年後、再雇用となって今度は面接官みたいな仕事を任されたりして。
社長になるっていうのが一番難しいんですよ…
事業計画、経営判断、経理、総務、人材育成…
残念ながら、僕はそういうことはできそうもありません。行き当たりばったりにむきになって目の前の仕事をカッコよくやっつける、っていうやり方しかしてこなかったので、上記のような技術も考え方も持っていませんし、自分の正確から考えると苦手な分野だという自覚があります。
kumakuma1967さんが言われるように、若い友人たちは不安定な派遣社員が多いです。僕がなんとか今の会社に居られるのは幸運だったってことに尽きると思います。多分、他のキビシイ会社だったらドロップアウトしていたでしょう。
多少の仕事ができようができまいが、大したことじゃないんですよ。
プロジェクトの間だけ、リーダーになれる人がいればいい。プロジェクトが終わったらやめてもらってかまわない。極端な話、その間だけ身分が社員だったらそれでok.
まあ、そういう刹那的な会社は会社そのものがあっという間に世代交代され淘汰されていくんですけども、そこの社員の人にとってはますます厳しい話であります。
僕のような話が通用するのは永年勤続がある程度保障というか慣例になっている会社だけかもしれません。
社会のせいだ!って言ってても手遅れになるばかりなので、なんとか自衛策を考えたいんですけどもねえ。
>事業計画、経営判断、経理、総務、人材育成…
のまdはいったいどんな大企業の社長に
なるつもりなの?(苦笑)
だいたいの弱小個人企業とかには、そんな
たいそうなモノはないと思いますよ。
中小企業では、銀行の融資受けるときだけ、
もっともらしいモノ作ると思うけど、結局、担
保と今までの実績しか評価されないっすよ。
転職の面接と同じっすね。技術があっても
相手にされません。
>pipi
いやあ、個人経営のパパママ企業っていうのもバッファが無くてリスキーだよね。
リスクを減らすためにはそういう視点を持たないといけないんじゃないかと思うわけ。自分の給料と会社の資産とごっちゃにしちゃいけないとか、余分な在庫は不良債権とか、そういうのを知らないと痛い目にあいそう。
それに、独立したなら、最低限生活が担保された上で、企業に勤めているよりも「やりがいがある」「給料が高い」「休みが多い」のどれか一つでもメリットがないとねえ。
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