警察も、教育も、医療も、保険も、年金も、電話も、テレビも、新聞も。
日本中の社会的基盤、インフラっていうのは、みなぎし崩壊を始めてるらしい。
天が落ちてくるのを心配するのを杞憂という。
しかし、天は落ちかかっていて、ギシギシと音が聞こえる。
みんなは僕のことをどう思ってるかしらないけど、僕自身は自分のことを、むしろ社会性が欠けていると思っている。
なんていうか、いつも社会っつーものに違和感を持っていて、自分が社会の構成員だっていうような自覚が無い。
だから、社会がどうしたとか、政治がこうしたということは、自分のblogで書くようなことじゃないと思っている。
それでもヨソのblogで目にして興味を引かれたことには「社会の観光客」として、コメントをすることがよくある。
事象の地平線::—Event Horizon— :: 水伝:科学だけの問題ではない
たざきさんの『「水からの伝言」を信じないでください』があちこちで話題になっている。賛同する意見も批判的な意見も、いくつかのblogで見たが、やはり一言追加しておかなければならないと思うのでまとめておく。
このblog主は天羽優子さん言って、物理学者だ。
僕は6,7年前、プログラマのメーリングリストに登録していて、最初はその参加者として彼女を知った。
「効能があるという触れ込みの水」を売る商売ってのは世の中にたくさんあるのだけれど、それに対する批判を「水商売ウォッチング」というサイトにまとめて、けっこう評判になっているので知ってる人は多いだろう。
僕は詐欺商法だとか、詐欺とまでは言えないけれどうさんくさい商売の手口を知るのが大好きで、いろんな手口をネットで収集してはニヤニヤしている。新しい手口が現れると嬉しくなってあっちこっちに検索かけて、事細かに中身を知ろうとする。
手口として斬新だったり、いくつもの手順を踏んだりしていると「良くできてるぅー!」などと興奮するのだ。
そういうマニアなので、実のところ「水からの伝言」なんてのは数ある水商売のひとつで、有象無象の、ただのニセ科学を使った新味のない商売としか見ていなかった。
ところが
……
世の中の人はけっこうバカも多いので、こうしたニセ科学にコロリと騙される。
まあ、ニセ科学どころじゃなく、テレビ番組にコロリと騙されるのだから仕方ないけども。
街頭インタビューに答える連中は芸能プロに登録してる仕込みだと気づかない。
隠しカメラで撮ってるとか言いながら、誰もいない部屋でむやみに滑舌よく独り言をしゃべる芸人を不自然だと思わない。
そういうオヒトヨシばかりだから、学校の先生まで「水伝」にコロリと騙されるのだ。
いくらなんでも、こんなバカバカしいものに騙されちゃ、教育としてダメだろう。
てことで、有志の研究者が啓蒙活動を行なっている。
「水からの伝言」を信じないでください
この作者の田崎さんは天羽さんの物理学者仲間で、ニセ科学に対して積極的な批判をしている。
実は科学の分野では、こうしたニセ科学だとかトンデモな研究に対して積極的な批判をすることは少ない。
「バカげた研究をしたって、研究者の中で評価されないようなら、何の意味も名誉も無いから」ってことだ。
研究の評価は書かれた論文からの引用がどれだけ多いかで決まる。論文へのリンク数が多ければ多いほど評価=スコアが高いってことだ。
「スコアが無い研究などどうせゴミなんだから、わざわざゴミの近くまで行って指差して「これはゴミだ!」なんていう必要は無い」って、僕に説明してくれた研究者の人がいたっけ。
まあそういうわけで、僕ら市井の人が思っているほど学会ってものはニセ科学やトンデモに対して積極的な排除行動をしないものなのだ。
「我こそは天才中の天才で、学会を揺るがすような大発見をしたのだが、自らの権威にしがみついた旧弊な連中が、その地位を失うのを恐れ、学会から排除された」
なんて紋切り型のセリフは、実のところ、ウソ八百なのだ。
排除なんて絶対にされない。
いろんな学会は参加費さえ払えば参加自由なものが多い。
僕はと学会と超心理学会しか行ったことがないけど、誰か研究者に知り合いがいたら、どこかの学会に行ってみるといい。うんと権威がある特別なイベントだと、論文の事前審査があったりするので、そういうのは避けて。
学会発表の早朝とか、最終の最後の方で、トンチンカンな研究発表が行なわれているのを見ることができるだろう。
そしてそうしたトンチンカンでバカバカしい研究発表に対して厳しい指摘をする人がいないことに驚くだろう。
研究者は、自分の研究を仕上げることに忙しくて、バカげた研究を批判するようなヒマは無いのだ。
どんなバカ研究を批判しても、自分の評価が上がることは無いのだから。
つまり、社会への還元、啓蒙のために、「水からの伝言」程度のバカ話を批判するということは、研究者にとって、特別なことなのだ。
それを受け取るということは、僕らにとって特別な贈り物なのだ。
残念なことに、市井の人はそういう「学会の習慣」を知らないから、「こんな程度の水伝批判なんて有効じゃない」なんていう人も出てくる。
ネットの友人である音極道のJ2さんもそういうエントリを上げた。
音極道茶室: 『「水からの伝言」を信じないでください』と言うのならやるべき事は一つだろう?
『「水からの伝言」を信じないでください』 という記事がはてなブックマークで人気になっていたので読んでみた。
:
結局この記事は、「ハナから信じてない人」が溜飲を下げる程度の説得力しかない。
僕は音極道のblogにコメントを重ね、田崎さんと連絡を取ることにした。
なんとか建設的で幸福な結末にすることができたようで、良かったと思っている。
しかし、安心できない。
僕らの社会は、いま、壊れようとしているんじゃないだろうか。
教育、医療、保険、年金、警察、電話、テレビ、新聞。
これだけの社会システムが大きく傾いていると言うのに、僕がやったことは賽の河原の石積みみたいな気がするのだ。
ちょろっと読みましたが、たしかに科学者の人もいちいち反論してられないですよね。
ぶっちゃけ、目の前で「超能力」されて、それを「よくできた手品」と認識せずに「超能力」と信じる香具師のなんと多いことよ。
ソレに対して「これは手品だよ」って指摘して「じゃあタネを説明しろ」とかいわれてもなぁ。
いや、オレ、手品師ちゃうからタネはわからへんけど、手品は手品やろ、としかいいようないし。
なんで信じるかな?キミ。みたいな。
ちわっす。たけちよさん。
人は信じたいものを信じるんですよね。
問題は手品でさえないものを、能書きだけで信じてしまうことだと思ってます。
て
こんな水伝みたいなお粗末な話なんか、科学の素養なんて無くたって、ウソだとわからなくちゃいけないんですよ。
未開の土人だって「あー、そりゃウソだわ」ってせせら笑うことはできるはずなんです。
「ブサイクなヤツは心も醜い」って仕組みだって言ってるんですから!
水商売ウオッチングはブックマークして時々読んでます。時々更新されてるようなので、気が抜けない。
明らかなトンデモに対して真面目に取り組む科学者って、なかなかいないですよね。有名どころだと大槻教授ぐらいしか思いつかない。
> 大槻教授
ぶふぉふぁざdshさdll
大槻教授自身がトンデモさんなので哀しいです。あの人、要はタレントなんだもん。ニセ科学の人を捕まえて怒ったフリをするタレント。
あの人、見てもいないのに「ミステリーサークルの原因はプラズマです!」って言っちゃった人です。
なんでもかんでも、見てもいないのに自分の分野に引き込むってのはニセ科学の手法と同じなんですよねえ。
さて、この手の似非科学を信じる人というのは、学者が懇切丁寧に教えてあげても聞く耳持たない。目の前に正解があるのに間違った方を選択しているわけだ。すなわち、自ら望んで馬鹿になっているということですよ。こういうビリーバーたちからは銭をむしっても良いのではなかろうか、と。
やめて>Koriさん
奥さんがこれの本持ってるもん。
寒気がするー。
> 大槻教授
さらに「ミステリーサークルってワタシが名づけたんですよ」って言ってましたよ(w
あー、でもボク、ダマされるタイプかも。
「勉強すれば幸せになれる」って学校とかいう団体に完全に騙された(w
いい学校出ていい会社に就職すればいい未来が、とも信じてます。
なにが「いい」かは人それぞれ異なるようだと最近になって思い始めました。
両親が騙されるタイプです。
簡単に信じる方が幸せになれそうだということに気づきました。
>>koriさん
>銭をむしって
俺も薄情にそういうことを思うし口走ります。「家畜は死んでもしょうがない」とさえ。
でも、家族や知り合いがそうなっては哀しいし社会がそっちの方面に行くと僕自身にもとばっちりが来るのです。
>>takesi
とりあえずテレビからは頭が悪くなる電波が出てるぞ
>>情苦
> 勉強すれば幸せに
次回のエントリはこれがテーマ。
俺の心を覗くなテレパス!
>>udon
>簡単に信じる方が幸せ
確かに麻薬は一時しのぎの幸せを
通過電車がその健在ぶりを誇示して
いつものとおり轟音を発しながら走るなか、
俺が乗りたい電車のダイヤが乱れると
たくさんの駅員さんが、隣のホームからも
同時にさまざまな情報を
一度に伝えてくれようと全員が大音量で
メガホンしてくれる。
この時、間違いなくサブリミナル効果を入れている。
知りたい情報は一切、俺の意識では理解できず
怒りのような感情のみが鳩尾と肩甲骨に渦巻くのを知覚する。
JR侮りがたし。
イライラを、親切放送でもって増幅してくる。
>「家畜は死んでもしょうがない」
その通りですね。うちの大番頭もそのように言っております。
究極の「やらずぶったくり」てのはカルト業界だと思うのですが、もう少しソフトで脱法寸前のが出来ないか、教祖様+番頭連中で時々会議してます。よろしかったらぜひ一度、お越しくだされ。
うひょ。
年末には浜松に戻るのでその時にでも行き会えいたいですねー
科学者や学会に対する過信がありませんか?
>研究者は、自分の研究を仕上げることに忙しくて、バカげた研究を批判するようなヒマは無いのだ。
そんな事はない気がする。とある学会で、科学的事実を伴わない妙な常識が支配的だったとする。科学的事実にもとづいてその常識に反するような論文を出すのがいかに大変か…..
通常2名のレフェリーがOKを出せば論文は掲載されるけれど、まずダメを出してくる。こっちには科学的事実があるからダメに反論する。レフェリーが反証を提示してやっぱりダメを出す。こっちが反証になっていない事を証明する。レフェリーが別の反証を出してダメを出す。またしても反証になっていない事を証明…これを繰り返してるとレフェリーの手持ちの反証が尽きる。レフェリーがOKを出さないまま後継を指名して辞任する。次のレフェリーが反証を…..数年間かけて8人だか9人辞任して、レフェリーのなり手がなくなると、編集会議で特別に掲載許可するかどうか採決するなんてことになるんだよw
もっとも、それで掲載されるから結果的に学会がまともって事なんだけど。
>スコアが無い研究などどうせゴミ
そうでもない。僕の知ってる分野では国内の最高の事例を集めた事例集に乗るまで10年間スコアがつかなかった(10年待たないと自信を持って評価できないほど先進的だった)研究もある。一方で「師弟関係にない人の論文はどんなに重要でも引用しない」先生もいる。Aさんの研究の追試を師弟関係にあるBさんがやってたら、必ずBさんだけを引用したりすることで、スコアの改ざんを目指したりもする。
学界全体がトンデモ方面に熱狂して、そのあと目が覚めて正常化したときには、みんななにごともなかったかのような顔をしてるけど雰囲気悪かったりってのもあるなぁ。
kumakuma1967さんどうも。
学会の話は、僕自身もいろんな学会をくまなく知ってるわけではないので、一面的な見方でした。そのへんは素直に認めます。
トンデモ方面に熱狂、というのもありえる話です。N線とかね。常温核融合とかね。
科学者や学会もやはり建設的批判や評価の対象となるべきものであるというのはよくわかります。
そうした相互検証をへて初めて信頼できるものになっていくのだろうと。
ただ、ここでの話はこと「水からの伝言」との間での信頼度の軽重の問題なんじゃないでしょうか。
ということで、近いうちに再度とりまとめたいと思います。
学会がトンデモに走っている時に、スコア見たらトンデモほど権威ですよ。つまりトンデモ度の指標です。
「スコアが無い研究などどうせゴミなんだから、わざわざゴミの近くまで行って指差して「これはゴミだ!」なんていう必要は無い」
なんて言うバカの話を載せちゃったnomadさんの脇がちょっと甘い気がします。