【結論】
当サイトは著作権法の認める範囲である引用の定義に基づき
1.テキストへのリンクを行う
2.画像へのリンクを行う
3.画像のコピーと当サイト上でのその表示を行う
【引用の定義】
(1)自分の著作物と引用する他人の著作物とを明確に識別できるようにする
(2)量的・質的に自分の著作物が主で、引用する他人の著作物が従の関係にあるようにする
(3)出所の明示を行う
2004年1月28日 表現訂正
【根拠】
CRIC(著作権情報センター)
http://www.cric.or.jp/
他人の著作物の一部分を引用することは、それが「公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるもの」である限り、権利者の許諾を必要としません(著作権法第32条1項)。しかし、「公正な慣行」とは何をいうのか、「正当な範囲内」とは分量的にはどの程度まで許されるのか、については明確ではなく、すべて判例に任されているといってよいでしょう。
以下、長文に付き注意
——参考資料——
※必要と思われる一部を抜粋しているため、正しく理解したい場合は原典を参照すること。
【元となる法律】
著作権法
第五款 著作権の制限
http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html#2_3e
第32条(引用)
公表された著作物は、引用して利用することができる。
【引用の範囲の解説】
著作権審議会
第7小委員会(データベース及びニューメディア関係)報告書
昭和60年9月 文化庁
http://www.cric.or.jp/houkoku/s60_9/s60_9_main.html#3_5a
(3)引用
第32条は、自己の著作物に他人の著作物を正当な範囲内において引用して利用することを認めている。引用とは、単なる転載を意味するのではなく、自己の著作物の説明の補強、具体化等のため他人の著作物を用いる必然性がある場合、それが他人の著作物であることを明確に示して必要最小限度で他人の著作物を利用することを認めるものである。
【絵画や図表を引用する行為についての解説】
第8小委員会(出版者の保護関係)報告書 平成2年6月 文化庁
http://www.cric.or.jp/houkoku/h2_6/h2_6_main.html#4_3
3 出版者保護の内容等
著作権法は、著作者等の権利の保護を図る一方、著作物等の公正な利用については著作権等を制限し、ある一定の条件の下で自由に著作物等を利用することができるよう措置している。
第32条(引用)
公表された著作物は、公正な慣行に合致し、かつ、引用の目的上正当な範囲内において引用して利用することができること、また、国又は地方公共団体の機関が公表する広報資料等の著作物を、説明の材料として新聞、雑誌に転載することができることを規定している。これは、著作物の引用が社会的に広く実態として行われており、その引用が公正な慣行に合致し、かつ、目的上正当な範囲内にとどまる限り、著作権を及ぼすことが適当ではないこと、また、転載については、国や地方公共団体の広報資料等が広く社会に伝播されるべき性質のものであることにかんがみ、著作権を制限したものである。
絵画、図表等を引用、転載する場合、これらの著作物が収録されている出版物の紙面を用いて写真製版して自己の著作物の出版物に掲載することが考えられる。
また、出版物の紙面自体の特徴を論ずる文章中に、当該紙面を写真製版して掲載することが考えられる。
—–補足資料——
【テキストへのリンクと画像へのリンクのWWWの仕様上の違い】
東北大学大学院文学研究科言語学研究室
後藤 斉
http://www.sal.tohoku.ac.jp/~gothit/webpolicy.html
<img>要素等にsrc属性によってURLを指定している場合は…
あるHTMLファイルに別のリソースを含める(include)ものです。
…読者の意思の介在を待たずに他サイトのリソースを 自サイトのページの中に取り込む形で利用するとすれば、引用ないし転載を 構成する可能性があります。
※平易でありながら、非常に重要かつ示唆に富んだ文章である。是非とも一読を勧める
—–その他、当サイトの意見—–
ここでは「文句を言われることがあるから従った方が良い」という意見と、著作権についての問題を同列には論じない。
世界中のありとあらゆる出来事に文句をつけることは可能であるが、その人の文句が法律的な根拠を持っているかどうかは別のことだからである。
親切に心優しく接してやってどんな文句でも唯々諾々と従うという人もいるかもしれないが、ここではそういう生活態度について言及しない。
【いわゆる直リンクについて】
直接リンクを貼ることによって、当初所有者が想定していた以上にサーバに負荷がかかってしまうので直リンクはやめてほしい、という意見には一定の理解はできるが、<著作権問題とは関係ない>ので注意すべきである。
直リンクという行為は、著作権上の権利はむしろ守られている。
【無断転載について】
「無断転載禁止」と書いている画像は数限りなくあるが、これの法律的根拠は商行為上の不利益についての言及であり、著作権上の関係とは別である。適正な範囲での引用(一部分の転載)は著作権上認められている。
【著作権と損害賠償・名誉毀損について】
著作権上は問題ない方法を使った引用であっても、その引用により不利益が生じた場合、損害賠償を請求したり名誉毀損で訴えることは可能である。
【画像の変更行為について】
サムネイル画像(画像の縮小表示)は著作権侵害ではないという判決が出ている。司法判断が常に正しいとは限らないが、PCの解像度や画面の大きさで画像の大きさがいつも一定の大きさで表示されるわけではないことや、正確な複製であることを考えれば妥当と思われる。
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/07/09/50.html
【引用の範囲について】
法律で何パーセントを上限として定めたものはないため、その都度裁判で争い、判例を積み重ねているのが現状である。
「脱ゴーマニズム宣言」裁判ではあるマンガを数十ページにわたって著作に引用したことが合法であるとの判断であった。
http://www1.odn.ne.jp/~aac13570/copyright-h12425.htm
※全てのマンガがそうだということではない。ストーリー性の少ない、絵画的要素が強いマンガや4コママンガであれば数十ページを「引用」する理由は無くなってしまう。また、もしそうした引用の方法が認められたら、その手の作家は死活問題である。
ただし、そのマンガのストーリーと側面を重要とするか、絵画的なニュアンスを重要とするかはその引用の内容や、裁判官の判断によって変わるであろう。
—–2004年1月28日追加—–
【「引用」の意味】
社団法人 著作権情報センター (CRIC)
「著作権テレホンガイド」 TEL(03)5353-6922
への問い合わせの結果
1.写真、絵画等を引用することは可能か。
具体例:ピカソの絵について自分の意見を申し述べたいので、その絵を自分の著作物に載せる
答え:すなわち「引用」であり、可能である。
ex:以前はできないというのが趨勢であったが、現在は「脱ゴーマニズム宣言裁判」にあるように絵画等の引用は認められる。
2.「引用」の意味は。
具体例1:雑誌に載っている車の写真をコピーして、その車について意見を書く
具体例2:敬虔な信仰者について申し述べたいので有名な絵画をその例として例示する
答え:引用とはみなされない。
具体例1:雑誌に載っている車の写真をコピーして、その「写真のできばえ」について意見を書く;ことは引用である。
具体例2:ある芸術家が敬虔な信仰者であり、その作品がそれを明らかに示していることを例示する;ことは引用である
判例1:航空機事故が起きたとき、その機体の写真を報道各社が使用したが写真を撮影した原著者への許諾を得ていなかったため、著作権法違反という判断が確定している
判例2:ある絵画集を出版するため、作者に許諾を得ようとしたが断られたため、批評文を作成し、その批評文の「引用」として絵画を掲載した事案において、著作権法違反という判断が確定している
—–追加終了—–
【世間の著作権への認識について】
法律上、拘束力のない注意書きが世の中には氾濫しており、それを鵜呑みにすべきでは無い。
[ある企業のWebサイトの注意書き]
当ホームページの内容の全部又は一部の引用・転載・複製について無断使用はお断りします。また本文の内容が変わるような引用・転載・複製についてもお断りします。
[法律家でもきちんと考えていない例]
http://www-h.yamagata-u.ac.jp/~matumoto/link/link_policy.htm#牧野和夫
リンクを張ることは、著作権法上の問題はありませんが、リンクは利用者に対しては、リンク先のサイトとの間に関連性や提携関係を示すことになります」(127頁)。
勝手なリンクによって被る損害から会社を守るためにも「このホームページにリンクを張る際は著作権者の許諾を得てください」などとホームページ上に明示しておくべきです。(127頁)
※「著作権法上の問題はない」と書いているにも拘らず「許諾を得よ」と指示しているが、これは著作権上の問題と損害賠償の問題とを混同している。人の言動が他者に関わるものであれば、それはリンクの有無に関わらず法的責任は発生するのである。
[企業の法務部門がきちんと考えていない例]
http://www.hotwired.co.jp/news/print/20020625106.html
「誰がリンクするか把握しておきたいからだ――法務部門がそのように言っている」
※法務部門の言うことはなんの根拠もない主張であった。
[弁護士会がお粗末だった例]
http://ascii24.com/news/i/topi/article/2002/07/02/print/636937.html
リンク許可問題、日弁連は「あまり深く考えていなかった」
※弁護士だとか裁判官だとか、法律家が言ったからと言って鵜呑みにしてはいけない。弁護士も嘘をつく。検事も見落とす。裁判官も誤審するのである。
ネチケットを標榜するサイトであっても鵜呑みは危険である。
誤った認識を掲載しているサイトは多い。
【新聞記事の著作権について】
CRIC(著作権情報センター)Q&A
http://www.cric.or.jp/qa/sodan/sodan8_qa.html
1.新聞記事は著作物である
新聞記事も著作物として保護される資格を十分に備えています。
著作権法10条2項で「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は著作物に該当しないと規定されていますが、これは限定的に解するべきで、新聞記事一般がこれに該当するわけではありません。…
2.新聞記事の分類
新聞記事に関する著作権法の規定を見ると概ね3種類に分類できます。…
第一は、上でみたような10条2項の規定に該当するような雑報の類です。第二は、著作物には該当するが、権利の制限によって報道等による利用が大幅に許されているもので、社説や巻頭言など、時事問題に関する論説と呼ばれるものがこれに当たります。この場合には、一般の著作物にも認められる私的使用や引用の他にも、他の新聞や雑誌が転載したり、放送、有線放送することが原則として自由となっています。第三は、これらに該当しないもので、一般の著作物と同様に保護されます。
※「新聞社や記者の思想や感情を交えず、事実だけを簡潔に伝える記事」 については明確に、著作権には該当しないと示されている。
ふう。けっこう調べましたがいろいろ大変でした。
やっぱり聞く人によって言うこと違うんで。
Webサイトの記事でけっこう信頼されていそうな情報も変なことが書いてあったり「弁護士に聞いた話」として紹介されている記事にも疑問なものがあったり。
これだけ書いておいて言うのも変ですが、裁判結果でさえおかしなものもありますから、本気でやるなら最高裁まで闘って決着つけて判例という以上に法律概念上の確定を得ることになります。
まずはここでの記事が僕ができる範囲でのオーソライズされた(信用できる)意見であると思っています。